米国女性たちが「ドナー卵子の価格上限は不当、市場原理で交渉させろ」と集団訴訟

米国の生殖補助医療界が2000年に作ったガイドライン
卵子ドナーへの支払いに1万ドルの上限を定めていることを不当だとして、
女性たちのグループが集団訴訟を起こした。

卵子の価格に上限を設けることは違法な価格操作である、と主張し、
ドナー精子の価格には上限がないと指摘。

女性の側が交渉できる余地を広げたい、としている。

実際には、ガイドラインには法的拘束力はなく、
生殖補助クリニックも卵子ドナー仲介企業もガイドラインを無視して、
上限をはるかに超える金額が支払われている。

卵子ドナー市場は今では8000万ドルともいわれ、

Sierra Poulsonさん(28 今回の訴訟とは無関係だが弁護士)は、
これまで3回の卵子提供で最初の2回はカンザスでそれぞれ3000ドルの支払いを受けた。
3回目はシカゴで、1万ドルをもらった。

3回目はお金が唯一の理由だったという。

ガイドラインは親になる人たちと企業の利益に傾き過ぎているし
ここは米国なのだから、ガイドラインよりも市場原理に任せるべき」。

癌サバイバー、高齢女性、
同性愛カップルを含めドナー卵子代理母を利用しようとするカップルなど、
CDCのデータによると2002年には月に12000サイクルだった卵子ドナー利用は
2012年には2万サイクルと、急増している。

ガイドラインの上限は、
貧困層若い女性が安易に卵子提供に魅かれないための抑止策だった。

提供時に使われるホルモン剤は発がんや不妊のリスクを伴い、
提供回数が増えると、特にリスクが高くなるため、
もっと研究して実態を把握する必要を説く声もある。

一方、カリフォルニア、ニューヨーク、シカゴでは
初回ドナーで4000~7000ドル。それが出産につながると、
次回からは金額が急増する。

マーケットは爆発的に伸びており、それだけ競争も激しい。
女優、モデル、アジア人、ユダヤ人、SATスコアの高いIVリーグの学生などが
特に売れ筋のドナー資格。

A Perfect Matchという仲介企業によると、
アジア人で初回だと1万から2万5000ドル。
リピーターだと4万、時に5万ドルの値がつくことも。

10万ドル単位もあったとも。

Maggie Eastmanさん(34)は、
医師からの電話で促されるたびに、必要とされているのに断りにくく、
10回の提供を行ったが、その後、2014年1月に乳がんと診断された。

6回を上限とすることが推奨されていることは
誰からも聞いたことはなかったという。

初回が1600ドル、次回から2000ドルで提供。

学費ローンの支払いがそれでほぼ賄われた。
他のドナーがいくらもらっているのか知らないし、
聞ける相手もいなかった。