2017-01-01から1年間の記事一覧

「ケアラー支援法~重症障害者の親として望むこと」を書きました

高次脳機能障害の方と家族のために様々な支援活動を展開しておられる 特定非営利活動法人VIVID(ヴィヴィ)のニュースレター 『ヴィヴィレター 第18号』(2017年3月20日発行)に、 「ケアラー支援法~重症障害者の親として望むこと」と題して、 以下の文章を…

お楽しみ会

今週の連絡ノートから (日曜日に療育園に送っていく際、 人さまにもっと思いやりというものを持ち、もっと気を使うよう、 母は娘によくよくよくよく言って聞かせておかねば、と考えております) グループ活動でした。 Hさん:今日は今年度最後のグループ活…

「無益」「潜在的不適切」「分配」めぐるTruogらのコメンタリー

「医学的無益」という概念が、長らく定義されることがないまま、 なし崩し的にQOLを根拠にした治療拒否の論拠として機能してきたことについては、 例えばこちらのウーレット関連のエントリーを始め、 前のブログから継続的に「無益な治療」係争事件の情報を…

2017年3月16日のメモ

カナダのオンタリオ州で、昨年施行となった安楽死法により実施の用意のある医師として名前を連ねた医師の中から、何度か経験して精神的な負担に耐えがたいとしてオプトアウトする人が出てきているらしい。 https://www.bioedge.org/bioethics/ontario-doctor…

「どんなに重度な人でも」と置き去りにされる「重症児者のニーズ」 4

個人的な体験を中心に1から3のエントリーを書いた後で、ちょっと気になったので、 客観的な情報や以前ブックマークで拾っていた事例の関連情報から、 4として主に「合併症」について追記してみました。 重症障害児者では 障害の原因となっている中枢神経系…

生理学的な効果が見込まれるなら「無益」ではなく「潜在的に不適切」……という新定義

これまで、ウーレットの記述や、さまざまに拾ってきた係争事件の情報などから 「医学的無益性」そのものは定義されていない、と考えてきたのですが、 2015年に出された以下の多学会の方針声明が ウーレットが挙げていた3つの中でも最も狭い定義を採っている…

くるくる寿司

こちらのエントリーで書いた予定の通り、 暖かくなってきたので、この週末は散歩を兼ね、 介護食のちらし寿司と自家製「とろみ和風だし」をもって 近所のくるくる寿司へ行ってきました。 お店には車イスの人向けのテーブル席が2つあります。 左側の席に入れ…

2月の連絡ノートから 今日はお昼から、嵐のコンサートのDVDをつけてもらっていました。 いつもDVDがついている間ずーっと、キャーと言われるのですが (足もバタバタさせ、“みんな見てえっ!!”) 今日はその声が一つもしません。 楽しくないのかなぁ? と見…

むんず

今週の連絡ノートから 海さんが帰ってきた先週の日曜日、 夕食介助が私だったのですが、 まぁ、いつものように、よく食べていました。 で、ハミガキも終わり、さぁ他の人の介助へ……と 海さんから離れようとすると、 むんずと私の腕をわしづかんで、 めっちゃ…

「どんなに重度な人でも」と置き去りにされる「重症児者のニーズ」について 3

(前のエントリーからの続きです) 食べることについて 海は、幼児期から長い間、刻み食で大丈夫で、 水分もそのままの状態でコップやストローで飲むことができていましたが、 その後、少しずつ飲んだり食べたりすることが難しくなって、 いくつかの段階を経…

「どんなに重度な人でも」と置き去りにされる「重症児者のニーズ」について 2

(前のエントリーからの続きです) リハビリテーション 私自身、母子入園での体験など、 かつての「治す」ための医療としてのリハビリテーションにあった姿勢には 大いに疑問も批判もあるのですが、その後、少なくとも重症児者のリハでは、 「支える」ための…

「どんなに重度な人でも」と置き去りにされる「重症児者のニーズ」について 1

もう何年も前から、いろんなところで気になってはいたのだけど、 相模原の事件から後の様々な議論を知るにつけ、改めて気にかかってならないのが、 いわゆる重症心身障害児者とか重症児者といわれる人たちのニーズについて、 世の中の人たちは分かっていない…

ドイツ裁判所、自殺のための致死薬へのアクセスを権利と認める

ドイツの情報はなかなか得にくいのだけれど、 2010年に拾った以下の話題の続報で、 欧州人権裁判所に「死の自己決定権」提訴(独)(2010/11/23) 転倒で全身マヒ、人工呼吸器依存となり、 2004年に国内で自殺のための薬物を入手するための訴訟を起こすも敗訴…

2017年3月2日のメモ

交通事故で全盲・全身麻痺になった著名DJのFabiano Antonianiさん(40)が、リハビリに励むも回復せず、スイスで幇助自殺。イタリアで合法化の議論が巻き起こっている。 https://www.thesun.co.uk/news/2976684/top-dj-fabiano-antoniani-aka-dj-fabo-ends-h…

金満里の「いのちの大きさ」 vs ピーター・シンガーの「いのちの価値」

金満里さんが率い、身体障害者にしかできない身体表現を追究する劇団態変については、 前に以下のエントリーがありますが、 劇団(変態ではなく)態変の機関紙「イマージュ」2月号から(2015/4/6) このたび3月23日から26日の第64回講演は 「ニライカナイ 命の…

ワシントンDCの「尊厳死法」施行

昨年11月に議会を通過したワシントンDCのPAS合法化「尊厳死法」案は 12月20日に市長が署名して法として成立し、 先週2月18日土曜日に施行されました。 ワシントンDCで、PAS合法化が決定(2016/11/16) メモで追いかけてきたように、 DCの法律については連邦議…

夫による認知症女性殺害事件で安楽死要件緩和を求める声が再燃(カナダ)

カナダ、モントリオールで、 認知症で歩くことも食べることも意思疎通も難しく、 介護施設で暮らしていたJocelyne Lizotteさん(60)を 夫のMichael Cadotteさん(55)が枕で窒息死させたとして起訴された事件。 事前に家族が安楽死を利用したいと希望したが…

2017年2月18日のメモ

安楽死が合法化された後にも、カナダ人がまだスイスで自殺しているのは政府が臆して未成年や精神障害者を要件から外しているためだ、との批判が出てきている。 http://www.cbc.ca/news/politics/dying-canadians-switzerland-dignitas-1.3966295 スペインの…

藤原里佐『重度障害児家族の生活 -ケアする母親とジェンダー』 4

(前のエントリーからの続きです) 第5章は「家族の生活に表れるリスク―『問題のない家族』を演じることの矛盾」 ここで著者が考察しているのは、 家族はなぜ自分の負担感や葛藤を抑制せざるを得ないのか、という問い。 障害児のケアが全面的に母親に集中す…

藤原里佐『重度障害児家族の生活 -ケアする母親とジェンダー』 3

(前のエントリーからの続きです) 第2章 第5節のタイトルは「ケアする母親」であることの強制。 調査の中で、ある母親から 「親にすべてがかかっている」という発言が出てくる。 そうした事態の深刻さは、母親自身以外には、障害児の関係者にすら共有されて…

藤原里佐『重度障害児家族の生活 -ケアする母親とジェンダー』 2

(前のエントリーからの続きです) 序章と第1章「分析視角の設定」で明確にされているのは、 これまでの、主として身体障害者とその親を念頭に展開されてきた 母親を「差別者」とみなしたり、本人との対立関係で捉える視点への不同意。 例えば、 横塚晃一の…

藤原里佐『重度障害児家族の生活 -ケアする母親とジェンダー』 1

藤原里佐『重度障害児家族の生活 -ケアする母親とジェンダー』(明石書店 2006) 著者は保育士、養護学校教員を経て、北星学園大学短期大学部助教授(刊行時)。 初読はいつだったのか、記憶が曖昧なのだけど、 2010年ごろじゃなかったかと思う。 3500円も…

海が「意見」表明をしました

今日、娘の施設で何年ぶりかの個人懇談でした。 私はこういう場面では、なるべく海を同席させてもらうことをお願いしてきたのですが、 今回はそうしないつもりでした。 海を同席させてもらうことを考えてみたいと思ったのは、 アシュリー事件からのあれこれ…

「医療的ケアを必要とする子どもをめぐる現状と課題」を書きました

日本ケアラー連盟のニュースレターNO.7に、 以下の記事を書きました。 刊行は2月下旬の予定です。 医療的ケアを必要とする子どもをめぐる現状と課題 日本ケアラー連盟理事 児玉真美 急増する「医療的ケア児」 近年、医学の発達で新生児の救命率が上がり、経…

入浴時の担当文豪支援職の災難

今週の連絡ノート(図解入り)から 今日、入浴時に介助に入っていた私。 海さんに、ここぞ! とばかりに水をかけられましたっ。 図解 1 浴槽が3つ並んでいる図。 左の2つはリフトで湯船につかる一人サイズの浴槽。 右の1つは最近導入されたドーム状の「…

オランダで認知症の女性に医師が睡眠薬を盛り、死にたくないと抵抗されると家族に押さえつけさせて安楽死

女性は80歳以上で、ナーシングホームで暮らしており、 以前、自分がしかるべき時が来たと思ったら安楽死したいという意思を表明していた。 症状が悪化し、不穏や怒りなどを頻繁に見せるようになり、 また夜間に徘徊も見られたため、 ナーシングホームの女…

2017年2月1日のメモ

相模原の事件とその後の議論は本当に日本の知的障害者施設の実態に即しているのか。ハートネットTVのブログで「知的障害者の施設をめぐって」という全12回のシリーズが始まっている。日本の知的障害者施設をめぐる壮大な歴史物語。現在第7回まで。第5回から…

今日のボケ: 大根

同世代の友人と話をしていて、 「ちょっと前までは、 2階に上がって、なんでここへ来たんだろう……って 分からなくなってたんだけど、 最近は1階で場所を移動して、 なんでここへ……? と思うようになった」 という話が出てきたのを機に、 交互に自虐ネタを披…

「地域医療ジャーナル」に「『無益な治療』論とDNAR指示」を書きました。

「地域医療ジャーナル」2月号に 「『無益な治療』論とDNAR指示」という文章を書きました。 「無益な治療」論を 「患者や家族の決定権」と「医療職のインテグリティ」との対立と捉え、 米国、カナダ、英国の無益論関連の事件と議論を振り返りつつ、 12月に出…

ディグニタスの窓口(?)Brewer医師を通じて、認知症の英国人6人がスイスで幇助自殺

2006年に不適切処方で英国の医師登録を抹消された精神科医 Colin Brewer医師については、以下のエントリーで拾っており、 どうやら英国の自殺希望者とディグニタスをつなぐ窓口の役割を担った存在のようです。 医師登録を抹消された医師の診断書で英国人7人…